【認定理学療法士監修】動けない時間が招く、脳卒中の「二次的な困りごと」 — 廃用症候群・誤嚥性肺炎・学習性不使用から体を守るヒント
ブログ監修者

脳梗塞Labo マヒリハ 柏の葉店店長 原田 涼平理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)
脳梗塞Laboマヒリハ柏の葉店店長の原田です。地域でお困りになっている方や不安を感じている方を一人でも多く救えるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリを行っております。リハビリをご希望の方はお気軽にご連絡ください。
動けない時間が招く、脳卒中の「二次的な困りごと」 — 廃用症候群・誤嚥性肺炎・学習性不使用から体を守るヒント
みなさん、こんにちは! マヒリハの原田です🌞
脳卒中と聞くと、手足の麻痺や感覚障害など、病気そのものが引き起こす症状に意識が向かいがちですよね。もちろん、これらとの向き合いは非常に大切です。
しかし、病気そのものの症状とは別に、「活動量が減ってしまうこと」が原因で、二次的に起こってしまう困りごとがあるのをご存知でしょうか?
今回は、脳卒中後の回復の道のりにおいて、早めの対処がカギとなる「合併症」について、詳しくお話ししていきます。
🥺動かない時間が招く「廃用症候群」の恐ろしさ
脳卒中を発症すると、治療や安静のためにベッドの上で過ごす時間が長くなります。 この「動かない時間」によって、心身の機能が低下してしまうことを「廃用症候群(はいようしょうこうぐん)」と呼びます。
「寝ているだけなら体は休まるのでは?」と思うかもしれませんが、実は、体にとって「安静すぎる状態」は、たくさんのリスクを伴います。
🚨廃用症候群が引き起こす主なリスク
- 筋力低下:全身の筋肉が衰える
- 関節拘縮:関節が固まり、動きにくくなる
- 起立性低血圧:急に起き上がった時に立ちくらみがする
- 褥瘡(じょくそう):床ずれ
- 心肺機能や内臓機能の低下
リハビリの世界では、「絶対安静」で筋肉を使わずにいると、「たった一週間で筋力が10%〜15%も落ちてしまう」と言われています。
日常動作で使っている筋力は、最大筋力の20%〜30%程度で、これを下回ると筋力は少しずつ落ちていきます。
さらに深刻なのは骨です。 特に腰の骨(腰椎)やかかとの骨(踵骨)のように、普段から重力で負荷がかかっている骨は、負荷がかからなくなると、「廃用による骨萎縮は数日間で起こり、著しい萎縮が起きる」と言われています。
だからこそ、病気になりたての方だけでなく、退院後にリハビリが習慣から外れて活動量が減ってしまった方にも、廃用症候群のリスクは常に潜んでいるんです。

💧見逃せないリスク「誤嚥性肺炎」
脳卒中後の合併症で、もう一つ注意が必要なのが「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」です。
脳卒中は、食べ物や飲み物を飲み込む機能(嚥下機能)にも影響を与えることがあります。これに加え、安静で寝ている時間が長くなると、唾液などが誤って気管に入りやすくなり、細菌が肺に入り込んで炎症を起こしてしまうリスクが高まります。
誤嚥性肺炎は、特にご高齢の方や、嚥下機能に障害がある方にとっては命に関わることもあります。リハビリでは、飲み込みの訓練や、食前の準備体操なども非常に重要になってきます。
🧠脳が学習してしまう罠「学習性不使用」
さて、廃用症候群が「体」の機能低下だとすれば、「学習性不使用(がくしゅうせいふしよう)」は「脳」の機能低下と言えます。
脳卒中になると、麻痺側の手足が動かしにくい、または使いにくい状態になります。 すると、無意識のうちに「動かしやすい健側の手足だけ」を使って生活するようになります。
これを続けていると、脳は「麻痺側の手足を使わないこと」を「学習」してしまうのです。
🤯中枢性の廃用
「筋肉や関節を動かさなくなると、筋肉に変化が起こり、それに続いて中枢性の廃用が生じてきます。」
この「中枢性の廃用」こそが、学習性不使用や、運動を司る脳の領域(皮質運動野)の縮小などを引き起こします。つまり、使わないことで、脳の機能そのものも衰えてしまうのです。
学習と聞くと良いイメージがありますが、脳は、不利益になることでも習慣化してしまうという、ちょっと困った側面を持っています。

💡まとめ:マヒリハがお伝えしたいこと
廃用症候群も、誤嚥性肺炎も、そして学習性不使用も、すべて**「活動量が減ること」「使わないこと」**が引き金となります。
だからこそ、私たちは、発症直後から退院後、さらにその先まで、「早め早めの対処」と「適切な活動量と質の確保」が最も大切だと考えています。
マヒリハでは、単に動く訓練をするだけでなく、
- ご自宅での活動量を増やすためのアドバイス
- 学習性不使用を防ぐための、麻痺側の手を「あえて使う」工夫
- 飲み込みの安全性を高める環境設定
まで、トータルでサポートいたします。
一人で「動けないから仕方ない」と諦める必要はありません。一緒に合併症のリスクを抑え、本来持つ力を最大限に引き出していきましょう。
もしご心配なことがあれば、いつでもご相談くださいね。
マヒリハ 佐藤
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