ゲルストマン症候群のリハビリ。計算・書字の練習はどう進める?|認定理学療法士監修

ブログ監修者

脳梗塞Labo マヒリハ 柏の葉店店長 原田 涼平理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)

脳梗塞Laboマヒリハ柏の葉店店長の原田です。地域でお困りになっている方や不安を感じている方を一人でも多く救えるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリを行っております。リハビリをご希望の方はお気軽にご連絡ください。

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こんにちは、マヒリハの岡田です。
「計算が急にできなくなった」「字を書こうとすると、思った通りの形にならない」「右と左が分からなくなることがある」

そんな症状に心当たりはありませんか?

それ、『ゲルストマン症候群』という、名前は難しいけれど実際にはとても日常生活に密接な高次脳機能障害かもしれません。

結論からお伝えすると、症状が完全に消えることもあれば長く残ることもありますが、「代わりの方法を使って生活を支える」練習を積み重ねることで、できることは増やしていけます。

今回は、ゲルストマン症候群の4つの症状と、計算・書字を中心にしたリハビリの進め方について、やさしく解説していきます。

ゲルストマン症候群とは?4つの代表的な症状

ゲルストマン症候群は、脳のあるひとつの場所(左頭頂葉の角回というあたり)がダメージを受けたときに出やすい、4つの症状の組み合わせです。一見、関係ないように見える能力が同時に崩れるのが特徴です。

失算(しっさん) → 足し算・引き算などの計算がうまくできない(例:「3+2=」の答えがなかなか出ない)
失書(しっしょ) → 手は動くのに、思った通りの字が書けない(例:文字の形が崩れる、別の字になる)
左右失認(さゆうしつにん) → 右と左の区別がつかなくなる(例:「右手をあげて」と言われても迷う)
手指失認(しゅししつにん) → 自分の指の名前や場所が分からなくなる(例:「人差し指を見せて」に、すぐに示せない)

なぜ4つがセットになるのか

原因となる左頭頂葉の角回は、数字の処理・書く動作のプランニング・空間的な位置関係(左右)・体の部位認識(指の名前)を まとめて管理する“ハブ”のような役割 を持っていると考えられています。このハブが損傷すると、複数の能力が同時に乱れるのです。

脳梗塞(特に左頭頂葉の損傷)・脳出血・外傷性脳損傷・脳腫瘍などがきっかけになることがあります。

混同されやすい障害との違い:
・単なる計算ミスとは異なり、失算は数字の概念や順序そのものが混乱していると考えられています
・筋力や運動の問題とは異なり、失書は手の動きは正常でも、書く「設計図」が乱れている状態だと考えられています
・注意障害 → 左右失認は注意力よりも位置関係の認識の障害

計算(失算)の練習はどう進めるか

①具体物・視覚的な手がかりから始める
いきなり暗算に戻すのではなく、おはじきや数カード、指を使って「数の量」を目で見て確認しながら計算する練習から始めます。

②電卓・数カードで生活場面をカバーする
お金の計算や日付の管理など、生活に直結する場面では、無理に暗算に頼らず電卓や数カードを「補助具」として使うことも一つの方法です。使える手段が増えるほど、生活の自立度が上がることも期待できます。

③簡単な計算から少しずつ難易度を上げる
1桁の足し算・引き算が安定してきたら、2桁・繰り上がりと段階的に進めます。焦って難易度を上げると、できていたことまで崩れやすいため、専門職と一緒にペースを確認しながら進めることをおすすめします。

字を書く(失書)の練習はどう進めるか

①下書き線・文字見本をなぞる
薄い下書き線や文字見本の上をなぞる練習から始め、少しずつガイドを減らしていきます。

②大きい文字から小さい文字へ
最初は大きめのマス目で形を捉える練習をし、安定してきたら通常サイズに近づけていきます。

③書く以外の伝達手段も併用する
 「書けないから伝えられない」を避けるため、タブレットの音声入力や定型文カードなど、書字以外の手段も並行して用意しておく と、日常生活でのストレスが減ることがあります。

左右失認・手指失認への関わり方

①左右失認 → 靴やカバンの左右に色やマークをつけて区別する
②手指失認 → 指の名前を歌やリズムに合わせて繰り返し確認する

どちらも「間違えたら注意する」のではなく、間違えにくい環境を先に作っておくことがポイントです。

ご家族ができること

ゲルストマン症候群のある方は、「さっきまでできていたのに、なぜ急にできなくなったのか」と、ご本人が一番戸惑っていることが多いです。

ご家族には、 間違いを指摘するより先に、正しくできる環境(見本・色分け・電卓等)を一緒に整えること をおすすめしています。「なんで分からないの」という声かけは、本人の不安を強めてしまうことがあります。

また、計算や書字の練習は根気のいる作業です。短時間でも「今日はここまでできた」を一緒に確認する時間を持つことが、練習を続ける支えになります。

相談の目安

「どの練習から始めればいいか分からない」「本人に合った難易度が分からない」という場合は、無理に自己流で進めず、リハビリ専門職(作業療法士・言語聴覚士等)に相談することをおすすめします。マヒリハでは、認定理学療法士が監修したプログラムをもとに、お一人おひとりの状態を丁寧に評価するところから始めます。

まとめ|脳のひとつの場所が、こんなにも多くの機能に関わっている

「ただ計算が苦手になった」でもなく、「字が下手になった」でもない。それらが同時に起きることで、日常生活に想像以上の混乱をもたらします。

でも、代わりの道を探す練習と、周囲の理解があれば、少しずつ暮らしやすい方法を見つけていけます。

よくある質問

Q. ゲルストマン症候群は治りますか?
A. 完全に消えることもあれば、長く症状が残ることもあります。個人差が大きいため、専門職の評価を受けることをおすすめします。

Q. 練習はどのくらいの頻度でやればいいですか?
A. 短時間でも毎日続けることが大切ですが、やり方によっては疲労や自信喪失につながることもあります。まずは専門職と一緒に無理のないペースを決めてください。

Q. 計算や字を書く以外に困ることはありますか?
A. 左右の区別や指の名前など、生活の様々な場面に影響することがあります。気になる症状があれば、まとめて相談してみてください。

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