❄️ 冬が来ると“ぱっと動けない”は偶然じゃない

― 麻痺側の筋緊張が高まる仕組みと、マヒリハ流・実践的な対処法４選

こんにちは！マヒリハの原田です🌞
「夏は調子よかったのに、冬になると手足が固くて動かしづらい…」そんな声を毎年たくさんいただきます。実は“寒さ”は麻痺側の筋緊張（痙性）を強める生理的な理由があり、知っておくと対処がずっと楽になります。今回はそのメカニズムと、すぐにできる・効果的な対処法をマヒリハ目線でわかりやすく解説します。

🔬 まずは短くメカニズム解説：なぜ冬に硬くなるのか？

• 自律神経の反応：寒さで交感神経が優位になり、筋緊張（筋の“こわばり”）が上がりやすくなる。

• 周辺血流の低下：冷えると筋や末梢の血流が落ち、筋がこわばりやすい。

• 神経の興奮性変化：痙性（痙縮）は脳や脊髄の制御異常が関係しますが、寒さで筋・神経の反射閾値が変化し、持続的収縮が強まることがある。
  → 結果として「動きにくい」「痛い」「疲れやすい」といった冬特有の悪化が起きます。

✅ マヒリハの現場で効く！ 冬季の筋緊張対策ベスト4

1）まずはこれ：体を“内側”から温める（最優先）

ポイント：入浴 → 温めてから動く

• ゆっくり湯船につかる（可能なら38〜40℃、5〜15分程度）で全身の血流アップ。

• 入浴直後は筋がやわらかくなっているので、ストレッチや関節可動域訓練を行うゴールデンタイム！

• 日常では腹巻・重ね着・足元の防寒、湯たんぽや電気毛布で局所的に温めるのも有効。
  注意：心疾患や血圧変動のある方は医師と相談してから。浴室での転倒に注意。

2）“動かす順序”で変える：相反抑制（反対の動きを使う）を活用

ポイント：緊張している筋の“拮抗筋”を動かすことで緊張が下がる

• 例：肘が屈曲して硬いなら → ゆっくり肘を伸ばす（拮抗筋を活かす）運動を数回繰り返す。

• 立位で膝が硬ければ → 軽い膝伸展動作や前方荷重で“伸ばす”感覚を入れる。

• 実施前に温めると効果UP。反動をつけず、ゆっくり・丁寧に行うのがコツ。
  ※自宅で行うときは無理をせず、痛みが増す場合は中止を。

3）補助として電気刺激（低周波など）を活用する

ポイント：動作前の“緊張抑制”に使える

• 低周波刺激は筋のリラクゼーションに効果がある場合があります。専門家（理学療法士）の指導で、動作前に短時間（数分〜十数分）使用すると動きやすくなることが多い。

• 家庭用機器を使う場合は、設定や貼り方に注意。専門家に相談して安全に使いましょう。

4）日常を“整える”＆装具でサポート

ポイント：温め＋動かす＋“負担を減らす”で効果倍増

• 装具（スプリント等）：手や足首の異常トーンを抑え、楽に動かせる角度を保つのに有効。夜間の拘縮予防にも。

• こまめに動く習慣：1時間に一回、軽いほぐしや足踏みを入れるだけで血流維持に効果。

• 住環境の工夫：廊下や居室の暖房、床の冷え対策、滑りにくい靴下で安全に動ける環境を作る。

• 水分・栄養：脱水で筋のこわばりが悪化することがあるので、冬でもこまめな水分補給を。

🔁 ワンポイント：リハビリ時の“やること順”（実践例）

1. 体を温める（入浴 or 湿布・暖パック・服装）→ 5〜15分

2. 軽い深呼吸でリラックス（自律神経の落ち着き）

3. 相反抑制を使った準備運動（5〜10分）

4. 電気刺激（使用する場合、短時間）

5. 主たるストレッチ・筋トレ・動作練習（温まった状態で行う）

⚠️ 注意事項（必ず読んでください）

• 発赤・やけど・痺れ悪化・強い痛みが出たら中止し、専門家へ相談を。

• 心疾患・糖尿病（末梢循環の問題）・高血圧がある方は、入浴や温熱療法の管理に注意が必要です。

• 装具や電気刺激は正しい適応・設定で効果的になります。自己判断で長時間行わないでください。

🔚 最後に — 冬こそ“工夫”で快適に

寒さで動きにくさが増すのは残念ですが、メカニズムがわかれば対処法も明確です。「温める → 緩める → 動かす」の順を意識するだけで、冬の不快感はかなり軽くなります。マヒリハでは、個々の麻痺の程度や合併症に合わせた「温め方」「準備運動」「装具プラン」などを提案しています。冬の不調を感じたら、ひとりで悩まずお気軽にご相談くださいね🌿

今日の一歩：まずは「入浴後の5分ストレッチ」を試してみましょう。感覚が柔らかくなったことにきっと驚きますよ！