【認定理学療法士監修】触れられない「世界」を取り戻す

ブログ監修者

脳梗塞Labo マヒリハ 柏の葉店店長 原田 涼平理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)

脳梗塞Laboマヒリハ柏の葉店店長の原田です。地域でお困りになっている方や不安を感じている方を一人でも多く救えるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリを行っております。リハビリをご希望の方はお気軽にご連絡ください。

🔥 触れられない「世界」を取り戻す

〜感覚って何?脳卒中後の“感覚障害”をやさしく分解してリハビリで取り戻す方法〜

こんにちは、マヒリハの原田です🌞

麻痺や言葉の問題と比べて見落とされがちな「感覚の異常」。
「手が当たっているのに何も感じない」「指先がジンジンして痛い」「足がどこにあるのか分からない」——こうした症状は、生活の不便さだけでなく、ケガや転倒のリスクにも直結します。今回は「感覚とは何か」を根本からやさしく解説し、感覚障害が起きる仕組みと、臨床で実際に使えるリハビリの“代償&再学習”アプローチまで、マヒリハ流にまとめます。

🧭 まず結論(忙しい人向け)

  • 「感覚」は五感だけでなく、皮膚や筋肉、関節、内臓から来る表在感覚・深部感覚・内臓感覚が合わさったものです。

  • 脳卒中では感覚情報の伝達や処理が乱れることで感覚障害が起きる(感じにくい・過敏・錯誤感覚など)。

  • リハビリの基本は “別の感覚で代償する”+“正しい入力を繰り返す”。視覚・圧覚・振動覚などを使って徐々に再学習します。

  • 感覚障害は改善することが多く、適切な評価と継続リハビリで日常の安全性とQOLが大きく向上します。

❓ 感覚ってそもそも何?(かんたんマップ)

感覚は大きく分けて:

A. 特殊感覚(教科書で言う“五感”)

  • 視覚(見る)

  • 聴覚(聞く)

  • 嗅覚(匂い)

  • 味覚(味)

  • 平衡感覚(バランス)

これらは主に“脳神経”で受容器と直接つながる特殊感覚です。

B. 表在感覚(皮膚由来)

  • 触覚(触れた感覚)

  • 温冷覚(暑さ・寒さ)

  • 痛覚(痛い/鋭い)

  • 圧覚(押されている感じ)

C. 深部感覚(体の内部・運動に関わる)

  • 位置覚(関節や手足がどこにあるか)

  • 運動覚(動いていることを感じる)

  • 振動覚(振動が伝わる感覚)

D. 内臓感覚

  • お腹の張り、尿意、のどの渇き、痛みなど。

感覚受容器(皮膚・筋肉・関節・内臓)が刺激を感じ → 脊髄・小脳・視床 → 大脳で統合・認識されます。

🧠 感覚障害はどんな症状になる?

脳卒中で起きる感覚障害のパターン例:

  • 感覚が鈍くなる(低下):触れても分からない、熱さを感じない。

  • 感覚が過敏になる(痛みや異常感覚):軽く触れるだけで強い痛み、ピリピリ感。

  • 錯覚・誤認:冷たいものが熱く感じる、触れている場所が違って感じる。

  • 深部感覚障害:手足の位置が分からない、歩行中に足がどこにあるかわからない(転倒リスク増)。

ポイント:これらは受容器そのものの異常ではなく、「情報を受け取る・伝える・処理する」段階(脳や脊髄)の問題で起こることが多いです。

🔄 リハビリの基本方針 — “代償” と “再学習”

感覚は「感じる」→「認識する」→「行動に結びつける」という循環です。マヒリハでは以下の手順でアプローチします。

1) 評価(まずはどの感覚がどれくらい障害されているかを確認)

  • 触覚・温冷覚・痛覚・振動覚・位置覚などをチェック。

  • 日常で困っている具体的場面(服のボタン、皿を持つ、歩行)を問診。

2) 代償戦略(感覚が戻るまでの実用的対処)

  • 視覚代償:麻痺側の手足が見えるように鏡や視線で確認しながら動かす。

  • 圧覚/触覚代償:足裏や手のひらで床や物を押す感覚を使って位置を把握。

  • 振動刺激:振動器(または電気刺激)で感覚入力を増やす(医師・セラピスト判断で実施)。

3) 正しい感覚入力の反復(再学習)

  • 健側(健康な側)で感じた刺激を麻痺側にも同じように入力 → 脳に正しい情報を“教える”。

  • 触覚+視覚の組合せトレーニング(例:見ながら指先を触る、物の形を視覚+触覚で確認)。

  • 位置覚トレ:目を閉じて手足の位置を当てる練習(初めは視覚で確認→徐々に目を閉じる)。

4) 実用動作へ統合

  • 食器を持つ、服のボタンをかける、階段昇降など実際のADLに結びつけて練習。

  • 転倒予防のために感覚訓練を歩行訓練とセットで行う。

🛠 具体的エクササイズ例(家庭でもできる)

  1. 触覚再学習:布・スポンジ・ゴムなど異なる材質に触れて「柔らかい/硬い」を報告する(視覚あり→視覚遮断へ)

  2. 振動刺激:低~中強度の振動器を指先や手のひらに当て、触覚を刺激(セラピスト指導のもと)

  3. 位置覚トレ:目を閉じて指先を鼻につける、足先の位置を合わせる練習

  4. 触覚マッサージ:麻痺側を優しく撫でる・ブラシで刺激して感覚入力を促す

※いずれも痛みが出たら中止し、担当セラピストに相談してください。

Q&A(患者さん・家族からよく聞かれること)

Q:感覚障害は完全に戻りますか?
A:個人差があります。発症部位・重症度・開始の早さ・反復量で改善度合いが変わります。早期に的確な入力(リハ)を開始するほど改善の可能性は高まります。

Q:痛み(異常感覚)が強いときは?
A:無理に刺激を与えると悪化することがあるため、痛み対策(鎮痛・感覚調整)を行いながら段階的に進めます。専門家に相談を。

Q:家族ができることは?
A:日常での「見守り」と「一緒にやる練習」が有効。食事や更衣での安全確保、転倒予防の環境整備も重要です。

マヒリハからのまとめ(3つのメッセージ)

  1. 感覚は生活の基礎 — 見えない不便が事故や自信喪失につながる前に評価を。

  2. 代償+正しい入力の反復がリハビリの肝。視覚や圧覚を利用して脳に“教え直す”ことが効果を生む。

  3. 継続が力 — 小さな訓練の積み重ねで安全性と生活の質は大きく改善します。

今日も「触れる」「感じる」小さな再獲得を一緒に進めましょう🌿
マヒリハ原田でした。

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