【認定理学療法士が解説!】パーキンソン病の嚥下障害とは!?
こんにちは!マヒリハの原田です。
パーキンソン病の症状の一つに「嚥下障害(えんげしょうがい)」があります。
嚥下障害になると食事に時間がかかり、食べ物をスムーズに飲みこむことが困難になります。また、飲み込みが困難になると、合併症につながる可能性もあるため、早めにセルフケアを行うことが重要です。
そこで今回は、パーキンソン病の嚥下障害について解説していきます。
パーキンソン病の嚥下障害とは
嚥下とは、食べものを口に入れてから、噛んで飲みこむことをいいます。
嚥下には、以下のような5つの段階があり、複雑な動作を行うことで、食べた物がスムーズに胃に送られます。
①先行期
食べ物や飲み物を目で確認して、一口の量や食べ方を判断します。また、食欲がわいて口の中の唾液(だえき)が増えます。
②準備期
口に入れた食べものをよく噛んで唾液と混ぜ、飲みこみやすいかたまりにします。
③口腔期
飲みこみやすくした食べ物のかたまりを、口の中からのどの奥へ送ります。このとき口の中では、舌を上顎につけることで、食べ物のかたまりの移動を助けます。
④咽頭期
食べた物や飲んだ物を、喉の奥からその奥にある食道まで送ります。私達は、呼吸をするために普段は喉の奥の蓋を開けていますが、食べ物を食道へ送るときは反射的に蓋を閉じて、気管に入らないようにしてます。
⑤食道期
嚥下の最終段階である食道期は、食べ物の塊が食道へ送りこまれます。このとき、上部食道括約筋(じょうぶしょくどうかつやくきん)という食堂にある筋肉の働きで食道が閉じることで、逆流せずに胃へ食べたものが送られます。
嚥下障害とは、このような嚥下の動作になんらかの問題が起きていることです。
パーキンソン病の嚥下障害は、病状が早いうちから見られます。しかし、初めはのどの奥だけで症状が起こっているため、口の中に食べ物が残りやすくなってから初めて気づくケースが多いです。
また、嚥下障害は、パーキンソン病の方の約50%に見られるといわれています。
嚥下障害の原因と症状
パーキンソン病の嚥下障害の合併症
嚥下障害には起こりやすい合併症がいくつかあります。
代表的な合併症として①誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)があります。
これは食べものや唾液などが気管に入ると、胃ではなく肺へ入ってしまいます。
そのため、誤嚥した(誤って肺へ飲み込んだ)物に含れていた細菌が肺のなかで繁殖して炎症を起こし肺炎になります。
誤嚥性肺炎は、ご年配の方に多く見られます。パーキンソン病は、年齢が進むにつれてかかりやすいこともあり、パーキンソン病の嚥下障害による誤嚥性肺炎は、もっとも起こりやすい合併症です。
②栄養不足、脱水
③口の中の感染
上記の3つが特にパーキンソン病の嚥下障害で起こりやすい合併症です。
パーキンソン病における嚥下障害は、症状が進行してから気づくことも多いため、早い時期から食事の工夫やリハビリをすることが対処法になります。
日常生活では、次のようなことを心がけると、合併症の予防にもなります。
①食事は飲みこみやすい形にする
②とろみをつけておく
③食事の姿勢に注意する
④口の中をきれいにする
⑤リハビリをする
口のまわりの筋肉や舌などを動かしてリラックスすると、食事が食べやすくなります。また、首や肩まわりなどのストレッチのような軽い運動も、嚥下に使う筋肉をスムーズにする効果があります。
まとめ
食べることは、生活の中の楽しみの1つでもあります。おいしいと感じるものを食べることと同時に、家族や友人などと一緒に楽しみながら食事をするなどの雰囲気や環境づくりは、生活や気持ちを豊かにする方法の1つにもなります。
パーキンソン病は、多くの場合、ゆるやかに病状が進んでいくため、症状をうまくコントロールしつつ、長くおつきあいする病気です。そのため、なるべく症状の予防を心がけることが大切です。
パーキンソン病の嚥下障害は、食べ方などの日常生活のちょっとした工夫を心がけることで予防と改善ができる症状です。姿勢や嚥下のことでお困りであれば、まずは専門家に相談することが1番です。
ブログ監修者
脳梗塞Labo マヒリハ 柏の葉店店長 原田 涼平理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)
脳梗塞Laboマヒリハ柏の葉店店長の原田です。地域でお困りになっている方や不安を感じている方を一人でも多く救えるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリを行っております。リハビリをご希望の方はお気軽にご連絡ください。
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