「麻痺した手に関して、生活上で使うことを優先するワケ」について、生活面に重きを置いている理由をお話ししていきます!!
何のために「手」を動かしますか?
上肢というのは、役割が非常に多くあります。
また、「動かす」ということに限っては、以下のようなものが挙げられます。
・伸ばす(例:頭上の物を取る)
・握る(例:買い物袋を持って運ぶ)
・掴む(例:ペットボトルを掴んで飲む)
・支える(例:字を書くときに押さえる)
・つまむ(例:洗濯バサミを開閉する)
・添える(例:茶碗を持って食べる)
例に示したような普段自然と行っていた動作の遂行には「手」のあらゆる機能が求められています。
さらに、手の機能改善には、今後の生活環境や役割によって目指すべき方向性が変わってきます。
また、手を動かせるようになった先の具体的な生活状況などは個人で大きく異なります。
そのため、細かく確認していきながら、予後予測および適切なアプローチ方法の選択を双方で検討していくことになります。
脳梗塞後、上肢活動の特徴について
特徴としては、以下が挙げられます。
・最大限の努力で何とか動かそうとしてしまう
・動く、動かすという点に意識を向けすぎてしまう
・手に入る感覚が不十分になってしまう
・不十分な分を補おうとするあまり、過剰な運動が生じてしまう
必死に動かそうとするあまりに全身に力が入ってしまうケースをよく見かけます。これらは全て繋がっていることが多く、悪循環に陥りやすいと言われています。
そのため、この悪循環の中に記載されている「感覚」が肝になります。
適切な運動を行うためには、「動かす」ということだけでなく、「感じること」も非常に重要ということです。
前述した手の役割は「動かす」という点だけを紹介しましたが、手には「感じる」という役割の方が重要とも言えます。
例えば、生卵を握った時に強く握ってしまうと割れてしまいますよね?
柔らかく包み込むような手の形をつくるには、「強く触れると割れる」という情報が大事になってきます(生卵に関しては、これまでの経験から目で見て判断しているのですが、それも“目で見る”という感覚情報になります)。
また、握った時、押した時などに感じる「硬い・柔らかい」「軽い・重たい」などのような感覚がなければ、適切な手の運動は難しくなります。
さらに、普段の生活の中でどれだけ感覚入力が促せているか、という点からも生活上での使用機会は必ず確認しています。
・マッサージを入念にされている
・茶碗は持てないけど、テーブルの上に手を置いている。
・左手でドアノブを握って、開けている
など普段の生活内で左手への関与が大事になってきます。
「どのように動かすか」というよりも「生活内でどのように使用しているか」が重要になってきます!!
手は意識しないと使わない?
上肢と下肢で異なる点に、“力が自然と無意識に入ってくれるか、そうでないか”という点があります。
私たちは、地球上に住んでいると共通して存在する「重力」の影響を受けて日々生活をしています。
さらに、「立つ」「立っている」「歩く」などの動作や姿勢保持には、この重力の影響を受けて勝手に力が入っています。
しかし、「手を使う」ということはそうにもいきません。細かな操作などが必要になってくるからこそ、生活内では手を使う目的が明確なのです。
また、下肢と違って、勝手に力が入ってくれるということは期待できないため、知らず知らずのうちに使用機会が低下しているケースはあります。
生活内での手の関わり・役割、これが改めて重要になってきます。
以上のことからも、適切に手を動かすためには普段の生活内での使用頻度・使用方法が大切となります!!「