【認定理学療法士監修】半球間抑制って、実は「片側だけで頑張る悪循環」かもしれない話
ブログ監修者

脳梗塞Labo マヒリハ 柏の葉店店長 原田 涼平理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)
脳梗塞Laboマヒリハ柏の葉店店長の原田です。地域でお困りになっている方や不安を感じている方を一人でも多く救えるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリを行っております。リハビリをご希望の方はお気軽にご連絡ください。
🔁 半球間抑制(はんきゅうかんよくせい)って、実は「片側だけで頑張る悪循環」かもしれない話
— マヒリハの原田が現場からわかりやすく解説します 🌞
こんにちは!マヒリハの原田です。
麻痺側がなかなか動かない。リハビリしているけど非麻痺側ばかり使ってしまう――そんな声をよく聞きます。今回はその原因のひとつ、「半球間抑制」について現場目線で解説します。名前は難しいですが、仕組みを知ると対策もとれますよ。
🔍 半球間抑制とは?(シンプルに)
左右の大脳半球は普段お互いをバランス良く抑え合っています。
ところが脳梗塞や脳出血で片側(損傷側)の働きが落ちると、反対側(非損傷側)の活動が相対的に強くなり、損傷側の脳がさらに抑えられる現象が起きます。
結果として「麻痺側に動かせ」という指令が出にくくなり、回復が阻害される可能性があります。
――つまり端的に言うと、
「健側(非麻痺側)が頑張りすぎると、患側(麻痺側)の回復が抑えられる」ということです。

🧠 どういう場面で起きやすい?
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立ち上がりや歩行で、つい非麻痺側の手足に頼ってしまうとき
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日常生活で「やりやすさ」を優先し、麻痺側を使わない習慣がついているとき
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麻痺側を動かすと時間がかかる・手間がかかるため、家族や介助者が非麻痺側で代行してしまうとき
⚠️ だから困る:学習性不使用との関係
非麻痺側を使いすぎると、麻痺側を「使わないまま学ぶ(学習性不使用)」という状況に陥ります。
脳は「使うものを優先する」性質があるため、麻痺側への指令や感覚入力が減ると回路がさらに弱くなってしまいます。
✅ マヒリハ流:実践できる対策(すぐ使える)
以下は臨床で効果を期待できるアプローチです。必ず個人の状態に合わせて専門家と調整してください。
1. 麻痺側を「意図的に使う」時間を作る(行動レシピ)
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食事の一部(箸を使う、飲み物を持つ)を麻痺側でやってみる(安全第一)
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歯磨き・洗顔の一部を麻痺側で担当するなど、短時間の反復を日常に埋め込む
2. 制約療法(Constraint-Induced Movement Therapy: CIMT) 的アプローチ
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一時的に非麻痺手を軽く制限し、麻痺手をたくさん使うことで脳の“やる気”を引き出す方法。
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全員に向くわけではないので、痙縮や安全性を確認してから行います。
3. ミラーセラピー(鏡を使う)
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健側の動きを鏡で見せ、あたかも麻痺側が動いているように視覚的フィードバックを与えることで脳を刺激します。
4. 並列/協調トレーニング(両側運動)
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両手で同時に行う簡単な作業(ボールの両手転がし等)は、損傷側を“引き上げる”効果が期待できます。
5. タスク指向の反復練習
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「机からコップを取る」「ボタンをかける」など実際の生活動作を、回数を決めて丁寧に反復する。
6. 感覚入力を増やす(触覚・荷重)
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麻痺側に触れる、握らせる、荷重(足底刺激)をかけるなどで感覚信号を増やすことも有効。

👪 家族・介助者にお願いしたいこと
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「やった方が早い」「危なそう」と思ってしまいがちですが、代わりに全部やってしまわないこと。
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安全確保しつつ、できる部分は本人にやってもらう。初めは時間がかかっても“やらせる”習慣をつけることが大事です。
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小さな成功を褒める(「できたね!」の一言が脳を動かします)。
🩺 注意点(必ず守ってください)
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制約療法や負荷増加は痙縮や疲労、循環器症状を悪化させる可能性があります。始める前に必ず医師・理学療法士と相談を。
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誤った方法で無理に動かすと痛みや二次障害の原因になることがあります。
まとめ:半球間抑制は“戦略”で変えられる
半球間抑制は「脳のバランス」が崩れることで起きる自然な現象ですが、日常の小さな工夫と計画的なリハビリで、その悪循環を断ち切ることができます。
麻痺側を少しずつ“使う習慣”を取り戻すことが、回復への近道になります。
もし「うちの家族は非麻痺側に頼りすぎている気がする」「具体的に何から始めればよいかわからない」という方は、マヒリハで一緒に日常でできる実践プランを作りましょう。安全で続けやすい方法を、個別に提案します🌿
また、良ければこのテーマをシリーズ化して、
▶ 「半球間抑制チェックリスト(家族向け)」
▶ 「短時間でできる麻痺側を使う5分メニュー」
のような実践ツールもお作りします。ご希望あれば教えてください!
マヒリハの原田でした。これからも、“できること”を増やすお手伝いをしていきます🌞
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