【認定理学療法士監修】〜脳梗塞・脳出血・パーキンソンの“腸”問題を専門家目線で分かりやすく解説〜
ブログ監修者

脳梗塞Labo マヒリハ 柏の葉店店長 原田 涼平理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)
脳梗塞Laboマヒリハ柏の葉店店長の原田です。地域でお困りになっている方や不安を感じている方を一人でも多く救えるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリを行っております。リハビリをご希望の方はお気軽にご連絡ください。
🔥 便秘は「たかが便」じゃない
〜脳梗塞・脳出血・パーキンソンの“腸”問題を専門家目線で分かりやすく解説〜
こんにちは、マヒリハの原田です🌞
脳血管疾患やパーキンソン病の方からよく伺う悩み、それが 「便秘」。
「お腹が張る」「トイレがつらい」「薬を飲んでもすっきりしない」——これらは“日常の不快”どころか、生活の質を大きく下げ、医療的にも注意が必要なサインです。本記事では、なぜ中枢神経障害で便秘が起きるのか、分類と原因、そして臨床現場で役立つ具体的な対策まで、マヒリハ流にやさしくまとめます。
(※本文の重要点には最新の研究・ガイドラインを参照しています。出典は文末に記載。)
🧭 まず結論(忙しい人向け)
-
脳梗塞・脳出血・パーキンソン病では 便秘が非常に多い(急性期〜回復期で頻度が高い)。Lippincott Journals
-
原因は大きく分けて:①中枢からの神経伝達障害(直腸の感覚低下など)、②運動量低下による腸運動低下、③薬剤や全身疾患。PubMed+1
-
まずは 「便秘のタイプを見分ける」→ 原因に応じた対策 が基本。
-
食事・水分・運動(可能なら)・便秘薬の正しい使い方で多くは改善可能。薬は「癖になる」神話だけで自己中断しないこと。PMC+1

❓ 正常な排便の仕組みを簡単に(イメージ重要)
食べ物は食道→胃→小腸→大腸へ。大腸で水分が取られて固まり、S状結腸で一時待機。便量が増える刺激があれば直腸へ移動し、直腸内圧が一定に達すると便意を感じ、内肛門括約筋(不随意)→弛緩、外肛門括約筋(随意)でコントロールして排便します。
🧩 便秘とは?(診断の目安)
日本の臨床では、「3日以上排便がない」、または残便感がある/毎日あっても不快な状態を便秘とし、慢性便秘は3か月以上と定義されることが多いです。症状と機序により4つに分類されます。J-STAGE
🗂 便秘の4分類とマヒリハの視点
① 機能性便秘(最も多い)
さらに「弛緩性」「痙攣性」「直腸性」に分かれます。
-
弛緩性:大腸の蠕動低下で便が長く停滞。運動不足・腹筋低下・食物繊維不足が背景。
-
痙攣性:大腸が過緊張で通りが悪くなる。ストレスや自律神経の乱れが関与。
-
直腸性:直腸に便が溜まるが便意が起きにくい(高齢者・寝たきり・神経感度低下に多い)。
※脳血管疾患の方は「直腸性」や「弛緩性」が頻度高めです。PubMed
② 器質性便秘
腫瘍や炎症など、腸そのものに問題がある場合。赤旗サイン(血便、体重減少、急激な症状悪化)があれば診察・画像検査を。
③ 症候性便秘
甲状腺や糖代謝、自律神経障害など、全身疾患に伴う便秘。脳血管障害やパーキンソン病もここに含まれます。J-STAGE
④ 薬剤性便秘
抗コリン薬、抗パーキンソン薬、抗うつ薬、オピオイドなどが原因に。まず薬の一覧を確認することが大事。

🧠 脳梗塞・脳出血で便秘が起きるメカニズム(臨床的に重要)
-
神経経路の障害:直腸からの感覚伝達や排便反射の中枢が障害されると便意が起きにくい(直腸内感覚閾値が上昇)。特に脳幹や中枢の病変が影響します。PubMed
-
運動量低下・筋力低下:歩行・腹筋などの日常動作が減ると腸運動も低下(弛緩性)。
-
入院・環境変化:ベッド上生活、食事変化、薬の追加で急に便秘が出る。
-
便秘→生活・血圧・心機能へ影響:便秘は生活の質低下のみならず、心血管イベントと関連するデータも報告されています(関連性の研究が増えています)。Frontiers
🩺 診察で見るポイント(すぐにできる)
-
便の頻度・性状(コロコロ/硬い/軟らかい)
-
残便感の有無・排便時の力み方(いきみ)
-
寝たきり度・歩行量・薬リスト(抗コリン薬など)
-
赤旗(血便、未解明の体重減少、急性発症の激しい腹痛)
🛠 マヒリハ流:症状別・段階別の実践対策(具体的)
生活習慣の“基礎”
-
水分:1日1.2〜2.0L(個別差)。こまめに。
-
食物繊維:野菜・海藻・果物を毎食少しずつ。急に増やすとガス・不快感が出るので段階的に。
-
運動:可能なら歩行や座位での体幹運動。腸運動は活動と強く結びつきます。
-
排便習慣:食後30分〜1時間の“トイレタイム”を習慣化(胃・結腸反射を利用)。
専門的な手技・補助
-
姿勢改善:便が出にくい方は足台で姿勢(前傾)を作ると排便しやすい。
-
腹部マッサージ:時計回りに軽く。習慣化で効果あり(心地よい圧で)。
-
直腸刺激・デジタルリーディング:病態により医師・看護師が行うことがあります(専門領域)。
薬物療法(医師指示で)
-
浸透性下剤(酸化マグネシウム等):日本でよく使われ、便を柔らかくして排出を助けます。臨床試験で有効性が示されています。PMC
-
刺激性下剤(センナ・ビサコジル等):即効性があるが、慢用での影響は議論あり(短期使用や医師管理下での適正使用が前提)。NCBI+1
-
新しい作用機序の薬(ルビプロストン、リナクロチド等):適応や使い分けは医師と相談。
注意:薬をやめる・変える際は必ず医師指示を。自己判断での中断は便秘悪化や電解質不均衡の危険があります。

⚠️ 特に脳血管疾患の臨床で気をつける点(マヒリハのチェックリスト)
-
ベッド上中心の方は直腸性便秘の可能性が高い → まずは感覚・反射評価。PubMed
-
抗コリン薬や一部の向精神薬を服用中なら薬剤性を疑う。薬の再評価を。
-
便秘が続くと誤嚥性肺炎や生活の質低下、血圧変動が起こることも。早めの対処を。Lippincott Journals+1
Q&A(現場でよくある質問)
Q:下剤はずっと飲み続けていい?
A:原因によるが、多くの方は医師の指示のもとで長期管理します。酸化マグネシウムのような浸透性下剤は比較的安全性が高く使用されていますが、電解質や腎機能のチェックは必要です。PMC
Q:便秘で血圧が上がりますか?
A:いきみによる急激な血圧上昇はあり得ます(特に高血圧の方)。便秘放置が心血管イベントのリスクと関連する研究も増えていますので、放置せず対処を。Frontiers
マヒリハからの実践まとめ(3ステップ)
-
タイプを把握する(直腸性・弛緩性・薬剤性など)→ 医療者と相談。PubMed+1
-
基礎対策を習慣化(水分・食物繊維・排便習慣・可能な運動)。
-
薬は医師と適切に使う(酸化マグネシウム等の選択肢、刺激薬の使い分け)。PMC+1
参考(本文で特に重要な情報源)
-
Stroke patients: incidence of constipation — systematic review (Li J. et al.). Lippincott Journals
-
Poststroke constipation: impaired rectal sensation (Cheng J. et al., 2020). PubMed
-
Current management / guidelines for chronic constipation in Japan (Masaoka T. et al.). J-STAGE
-
Randomized trial: magnesium oxide efficacy in chronic constipation (Mori S. et al.). PMC
-
Laxatives overview and safety (StatPearls / NCBI). NCBI
今日も安全で快適な腸活を!マヒリハの原田でした🌿
ご予約はお電話、LINE、予約フォームからどうぞ


| 所在地 | 〒277-0871 千葉県柏市若柴226-42 中央144街区2 KOIL GARDEN 2F Google Map |
|---|---|
| 受付時間 | 月、火、水、木、土9:30~18:30 |
| 電話番号 | 04-7197-5090 |
| 定休日 | 日、金、祝 |






