【認定理学療法士監修】段取り・切り替え・やり抜く力——それがうまくいかない理由は「遂行機能」にあります
ブログ監修者

脳梗塞Labo マヒリハ 柏の葉店店長 原田 涼平理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)
脳梗塞Laboマヒリハ柏の葉店店長の原田です。地域でお困りになっている方や不安を感じている方を一人でも多く救えるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリを行っております。リハビリをご希望の方はお気軽にご連絡ください。
【認定理学療法士監修】段取り・切り替え・やり抜く力——それがうまくいかない理由は「遂行機能」にあります
こんにちは!マヒリハの岡田です🌞
「やることはわかっているのに動き出せない」「料理も片付けも同時に回らない」「締切前にパニック」——そんな“生活のつまずき”の背景にあるのが遂行機能。今日はその全体像と、明日から使える工夫をまとめます。
遂行機能ってなに?
一言でいうと、目標に向かって“計画→実行→修正→やり切る”ための頭の指令塔。具体的には——
-
計画立案:何を・どの順で・どれくらいの時間でやるか決める
-
開始・持続:先延ばしせず始め、集中を保つ
-
切り替え:予定外に対応し、方針転換する
-
抑制:衝動をコントロールして脱線を防ぐ
-
モニタリング:今のやり方で良いかを振り返り修正する
-
ワーキングメモリ:作業中に必要な情報を頭に保持する
前頭前野を中心に、基底核や帯状皮質などのネットワークで働いています。脳卒中・頭部外傷・加齢・うつや睡眠障害などでも影響を受けやすい領域です。
こんなサインはありませんか?(セルフチェック)
-
準備に時間がかかり出発が毎回ギリギリ
-
二つ以上の用事を同時に回せない(料理中に電話で混乱など)
-
予定外が入ると固まる/苛立つ
-
片付けが始められない・途中で放置
-
衝動買い・不要なスクロールが止められない
-
見積もりが甘く、時間超過や締切遅れが多い
-
作業の振り返り・修正が苦手
当てはまるほど、遂行機能のサポートが役立ちます。
よくある誤解
「やる気がない」「性格の問題」
いいえ。脳の機能の問題です。根性論で責めるほど、自己効力感が下がりさらに動けなくなります。必要なのは、「仕組み」と「環境」と「練習」です。
評価はどうする?
現場では、面接・行動観察に加えて以下のような検査が用いられます(必要に応じて医療機関で実施)。
-
FAB(Frontal Assessment Battery)
-
BADS(Dysexecutive 症候群の行動評価)
-
TMT-A/B, Stroop, WCST など
「どこが苦手か」を言語化できると、対策が具体化します。
介入の原則:3層モデルで考える
① 環境・タスクを整える(負荷を適正化)
-
一度に一つ:同時進行をやめ、順序を見える化(チェックリスト・ホワイトボード)
-
時間を見える化:キッチンタイマー・ポモドーロ(25分+5分)
-
刺激コントロール:作業場所から通知・余計な物を除く
-
トリガー設置:外出セット=玄関に“鍵・財布・保険証”固定配置
-
自動化:定期支払いは口座引落/買い物は定番リスト
② スキル訓練(頭の使い方を学ぶ)
-
G-P-D-R(Goal–Plan–Do–Review)
-
目標を1行で → 手順を3~5ステップ化 → 実行 → 振り返りを1分
-
-
GMT(Goal Management Training):
-
Stop(立ち止まる)→ Define(やること定義)→ List(手順化)→ Learn/Check(確認)
-
-
Time Pressure Management:時間に追われる場面の事前手順化・練習
-
問題解決テンプレ(IDEAL):Identify→Define→Explore→Act→Look back
-
メタ認知トレーニング:失敗パターンの見える化→予防策の事前セット
③ 習慣化(続ける仕組み)
-
IF-THENプラン:
-
「もし朝の歯磨きを終えたら、そのまま服薬記録をつける」
-
-
週次レビュー:日曜の15分で“できたこと”と“次の一手”を決める
-
小さく始める:最小行動(2分で始められるサイズ)を決める
生活で使える“即効テク”10選
-
ToDoは1日3つだけ(“勝ち筋”を作る)
-
開始の儀式(タイマーON→机を拭く→PC起動の固定ルーティン)
-
5分だけやる(起動ハードルを下げる)
-
視覚手がかり(透明収納・ラベルで“探す”をなくす)
-
電話は台本化(要点3つメモ→終了時に復唱)
-
買い物はリスト+“10分クールダウン”(衝動抑制)
-
二層カレンダー(月間で俯瞰+今日の3タスク)
-
デジタル通知は二段階(前日夕と当日朝)
-
終了アラーム(ダラダラ延長を防ぐ)
-
褒めを可視化(できた数をカウントし自己効力感UP)
ご家族・職場の関わり方(負担を減らすコツ)
-
指示は短く・具体的・一回に一つ(「ゴミをまとめて、可燃だけ玄関へ」)
-
肯定形で伝える(「今はここまでにしよう」)
-
待つ時間をセット(相手の“考える間”を許容)
-
成功した手順はテンプレ化して共有
-
危険を伴う行為(火・金銭管理・運転)は医師・専門職と相談
医療・体調面のチェックも大切
睡眠不足、疼痛、うつ・不安、過度の疲労は遂行機能を確実に悪化させます。
まずは 睡眠・痛み・服薬・血圧・血糖 の整えから。薬物的対応は主治医に相談してください。
事例でイメージ(料理が回らない)
Before:同時進行で混乱→焦げる・片付かない
After:
-
献立は“主菜1+副菜1”に固定
-
手順をカード化して冷蔵庫へ(順番どおりに置き換える)
-
タイマー2つ(加熱・片付け)で並行作業を分解
-
終了チェック3項目(火・水・コンセント)でヒヤリ防止
→ 週3回の自炊が継続、「できた」の数が自信に。
まとめ|“できるように設計する”がキーワード
-
遂行機能=やり抜くための指令塔(計画・開始・抑制・切替・振り返り)
-
誤解しない:意思の弱さではなく脳の特性
-
介入は環境整備→スキル訓練→習慣化の三層で
-
小さく始め、見える化・時間化・自動化で続ける
-
家族・職場は“待つ・具体化・テンプレ化”で支える
ご予約はお電話、LINE、予約フォームからどうぞ


所在地 | 〒277-0871 千葉県柏市若柴226-42 中央144街区2 KOIL GARDEN 2F Google Map |
---|---|
受付時間 | 月、火、水、木、土9:30~18:30 |
電話番号 | 04-7197-5090 |
定休日 | 日、金、祝 |