【認定理学療法士監修】ゲルストマン症候群〜計算も、字も、左右も…あれ?指の名前も…?〜
ブログ監修者

脳梗塞Labo マヒリハ 柏の葉店店長 原田 涼平理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)
脳梗塞Laboマヒリハ柏の葉店店長の原田です。地域でお困りになっている方や不安を感じている方を一人でも多く救えるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリを行っております。リハビリをご希望の方はお気軽にご連絡ください。
🧮 ゲルストマン症候群
〜計算も、字も、左右も…あれ?指の名前も…?〜
こんにちは、マヒリハの岡田です。
今日は、「ゲルストマン症候群」という、名前はちょっと難しいけれど、実際にはとても“日常生活に密接”な高次脳機能障害についてお話しします。
✔️「ゲルストマン症候群」って何?
ゲルストマン症候群は、あるひとつの脳の場所(左頭頂葉の角回というあたり)がダメージを受けたときに出やすい、4つの症状の組み合わせです。
一見、関係ないように見える能力が同時に崩れるのが特徴です。
4つの代表的な症状
① 失算(しっさん)
→ 足し算・引き算などの計算がうまくできない。
例)「3+2=」と言われて、答えがなかなか出ない。
② 失書(しっしょ)
→ 手は動くのに、思った通りの字が書けない。
例)文字の形が崩れたり、別の字になってしまう。
③ 左右失認(さゆうしつにん)
→ 右と左の区別がつかなくなる。
例)「右手をあげて」と言われても迷ってしまう。
④ 手指失認(しゅししつにん)
→ 自分の指の名前や場所がわからなくなる。
例)「人差し指を見せて」と言われて、すぐに示せない。
✔️なぜ4つがセットになるの?
原因は左頭頂葉の角回。
この場所は、
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数字の処理
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書く動作のプランニング
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空間的な位置関係(左右)
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体の部位認識(指の名前)
を“まとめて管理するハブ”のような役割を持っています。
このハブが損傷すると、複数の能力が同時に乱れるのです。
✔️どんな場面で起こる?
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脳梗塞(特に左頭頂葉の損傷)
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脳出血
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外傷性脳損傷
-
脳腫瘍
などがきっかけになります。
✔️混同されやすい障害
✅ 単なる計算ミス → 失算は数字の概念や順序そのものが混乱している
✅ 筋力や運動の問題 → 失書は手の動きは正常でも、書く「設計図」が乱れている
✅ 注意障害 → 左右失認は注意力よりも“位置関係の認識”の障害
✔️リハビリでできること
ゲルストマン症候群は、完全に消えることもあれば、長く残ることもあります。
ポイントは“代わりの方法を使って生活を支える”こと。
🔹 失算 → 電卓や数カードを活用
🔹 失書 → 下書き線や文字見本を使う
🔹 左右失認 → 色やマークで左右を区別
🔹 手指失認 → 歌やリズムで指の名前を覚える
✔️さいごに
ゲルストマン症候群は、脳のひとつの小さな部分が、こんなにも多くの機能に関わっていることを教えてくれます。
「ただ計算が苦手になった」でもなく、「字が下手になった」でもない。
それらが同時に起きることで、日常生活に想像以上の混乱をもたらします。
でも、脳は諦めない。
代わりの道を探す力と、周囲の理解があれば、少しずつ暮らしやすい方法を見つけていけます。
🧠 高次脳の不思議と、生活を支える知恵。
これからも一緒に学んでいきましょう📚
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