脳梗塞が起きる部位
脳は大きく分けると6つの領域から構成されており、それぞれ役割が異なります。
⒈前頭葉
⒉頭頂葉
⒊側頭葉
⒋後頭葉
⒌小脳
⒍脳幹
それぞれ簡単に解説していきます。
前頭葉
前頭葉は人間の情緒や意欲に関係する部分が多いことと、運動を司る領域が存在する場所になります。
そのため、障害されると無気力、無関心になってしまったり、半身が麻痺して身体が動かなくなってしまいます。
人によっては攻撃的な性格に変わってしまったり、普段考えられないような異常な行動をとることもあります。
また、言語を司る領域も一部存在しており、その部分を障害されると、言葉は理解できても、言いたい言葉がうまく喋れなくなってしまいます。(ブローカ失語)
頭頂葉
頭頂葉は特殊な場所で部位によっては左右で担当している機能が異なります。
また、左右に共通する事は、感覚を司っている領域が頭頂葉の前方にあります。
そこを障害されると痺れが強く出たり、物に触れている感覚、温度感覚、痛みの感覚がわからなくなってしまいます。
右頭頂葉
右の頭頂葉には自分自身とその周りに対する空間認識が障害されます。
そのため、左半身をぶつけてしまったり、左側のものを見落としてしまったりします。(半側空間無視)
その他には自分の状態がわからなくなってしまう病態失認などもあります。
病態失認では自分の麻痺した半身を否認したり、無関心になることがあります。
さらに、「自分の手はしっかり動く」、「この手は自分のではない」等の発言が見られることもあります。
左頭頂葉
左の頭頂葉には言語を司る領域が存在しており、障害されることで文字を理解したり、書いたりすることができなくなったりします(失読、失書)。
こういった会話だけでなく、読み書きの部分の障害についても失語症と言われます。
側頭葉
側頭葉は記憶に関する情報を多く取り扱う領域で、障害されると脳梗塞になった後の記憶が無かったり(前向性健忘)
逆に、脳梗塞以前の記憶が無くなってしまう症状もあります。(逆行性健忘)
前者の場合だと、新しい物事を覚えることが難しくなり、日時や約束を守ることができないことが多くなります。
また、言語の理解を司っている部分が左側頭葉には存在しているため、ここが障害されると言われた事や書いてある事が理解できなくなってしまいます。(ウェルニッケ失語)
後頭葉
後頭葉は視覚に関する情報を多く取り扱う領域で、障害されることで目の前にある物を認識できなくなってしまったり、視野の半分が欠損して見えなくなってしまいます。
さらに、視覚情報をうまく入手することができなくなってしまうので、物とや人との距離感を見誤ることもあります。
小脳
小脳はバランス機能や運動の調整を司っている部分になります。
そのため、障害されることで、狙った場所へ身体を動かしにくくなったり(小脳失調)、千鳥足で酔っ払いのようにフラフラと歩く(酩酊歩行)などの症状が現れます。
脳幹
最後に脳幹は生きるために必要な機能が多く備わっている部分であり、障害されることで意識障害や呼吸困難、食べ物が飲み込みにくくなる嚥下障害などが起きます。
その他にも、手足を動かす神経が一極集中する場所になるため、片方だけの麻痺ではなく、両手足の麻痺になることもあります。
まとめ
性格が変わってしまうことや、麻痺した半身を否認してしまう、新しいことが覚えにくい等の症状が出現することを知らない方も多いと思います。
あらかじめ出現する症状を理解しておくことで、自分で対処できたり、当事者の方への対応が変化してくる人もいるでしょう。