【脳卒中 認定理学療法士が監修!!】麻痺と骨折の関係性
ブログ監修者

脳梗塞Labo マヒリハ 柏の葉店店長 原田 涼平理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)
脳梗塞Laboマヒリハ柏の葉店店長の原田です。地域でお困りになっている方や不安を感じている方を一人でも多く救えるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリを行っております。リハビリをご希望の方はお気軽にご連絡ください。
こんにちは🌞 脳梗塞リハビリ専門施設「マヒリハ」の佐藤です!
「脳梗塞になると、片麻痺の影響で骨折しやすくなる」
この事実をご存知でしたか? 脳梗塞後のリハビリにおいて、私たちが常に細心の注意を払っているのが「転倒」による骨折のリスクです。 一度骨折してしまうと、痛みはもちろん、ギプス固定などでリハビリが中断し、回復が大きく遅れてしまう…という負の連鎖に陥りかねません。
この記事では、脳梗塞リハビリの専門家として、
- なぜ脳梗塞後に骨折のリスクが高まるのか、その深刻な理由
- 特に注意すべき危険な骨折の種類
- 骨折を防ぐために今日からできる具体的な予防策
について、徹底的に解説していきます。大切な体を守り、安心してリハビリに励むための知識を一緒に学んでいきましょう。
なぜ脳梗塞後に骨折しやすくなるのか?深刻な3つの理由
「麻痺があるから動きにくい」というだけでなく、脳梗塞後は複合的な要因によって骨折のリスクが格段に高まります。
理由①:圧倒的な転倒リスクの増大
まず最も大きな理由が、転倒しやすくなることです。
- バランス能力の低下: 麻痺によって体の重心が不安定になります。
- 感覚障害: 足の裏の感覚が鈍くなり、地面の状態をうまく認識できなくなります。
- 空間認識の障害: 物との距離感が掴みにくくなることがあります。
- 注意障害: 一つのことに集中すると、足元への注意が散漫になります。
これらの後遺症が複雑に絡み合い、何もない平らな場所でさえ、転倒のリスクが潜んでいます。
理由②:麻痺側の骨がもろくなる(骨密度低下)
実は、麻痺側の手足は、使っていない健康な側と比べて骨がもろくなりやすいのです。
骨は、体重などの負荷がかかることで刺激を受け、新陳代謝を繰り返して強度を保っています。しかし、麻痺によって麻痺側の手足に体重をかける機会が激減すると、骨への刺激がなくなり、骨のカルシウムが溶け出してスカスカの状態になってしまいます。 これを**「廃用性骨萎縮(はいようせいこついしゅく)」**と呼び、健康な人でも長期間寝たきりになると起こる現象です。
理由③:骨折後の回復が遅れやすい
万が一骨折してしまった場合、麻痺があることで回復が遅れやすいという問題があります。 ギプスで長期間固定されると、ただでさえ弱っていた筋力がさらに低下し、関節も固まってしまいます。これにより、リハビリの再開が遅れ、回復が長引き、最悪の場合、寝たきりに繋がる危険性も高まるのです。
【特に注意!】脳梗塞後に多い危険な骨折
数ある骨折の中でも、脳梗塞後に特に注意すべき代表的な骨折を2つご紹介します。
1. 大腿骨頸部骨折(足の付け根の骨折)
転倒した際に最も起こりやすく、そして最も危険な骨折の一つです。歩行能力に直接影響するため、手術が必要になることが多く、長期の入院とリハビリを余儀なくされます。高齢者が寝たきりになる原因のトップクラスを占める骨折です。
2. 脊椎圧迫骨折(背骨の骨折)
尻もちをついたり、くしゃみをしたり、重いものを持ち上げたりといった、日常生活のささいな動作で背骨(椎体)が潰れるように折れてしまう骨折です。骨粗しょう症で骨がもろくなっている方に多く見られます。
<もしかして?脊椎圧迫骨折のサイン> 以下のような時に背中や腰に強い痛みが出た場合は、圧迫骨折を疑いましょう。
- 尻もちをついた、椅子にドスンと座った後から痛む
- くしゃみや咳をしたら急に痛くなった
- 寝返りをうったり、起き上がったりする時に激痛が走る
- 背中が以前より丸くなってきた気がする
治療は、ほとんどの場合、体を固定する大きなコルセットを着用して骨が固まるのを待つ「保存療法」が選択されます。
もし骨折したら?治るまでの期間の目安
骨折の治癒期間は、年齢や骨の状態、部位によって大きく異なります。一般的な骨が付着するまでの期間の目安は以下の通りです。
- 肋骨:約3週
- 鎖骨:約4週
- 腕の骨:約5~7週
- すねの骨:約8週
- 大腿骨(足の付け根):約12週
ただし、これはあくまで骨がくっつくまでの期間です。
元の生活に戻るためには、さらに数ヶ月のリハビリが必要です。前述の通り、麻痺がある場合は筋力回復や関節の動きの改善に時間がかかり、一般の方よりも治癒に長い期間を要すると考えた方がよいでしょう。
最悪の事態を避けるために。今日からできる骨折予防策
骨折は、正しい知識と対策で予防することが可能です。
対策①:転ばない環境を徹底する
まずは物理的に転倒のリスクを減らしましょう。
- 手すりの設置: 廊下、トイレ、浴室、玄関など
- 段差の解消: 敷居のスロープ設置、コード類の整理
- 滑り止め対策: 浴室マットや滑りにくい室内履きの使用
- 明るさの確保: 夜間の廊下や足元を照らすライトを設置
対策②:骨を強くする生活習慣
「転んでも折れない、丈夫な骨」を作ることが根本的な対策になります。
- 食事:
- カルシウム(牛乳、小魚、豆腐)
- ビタミンD(きのこ類、魚類):カルシウムの吸収を助ける
- ビタミンK(納豆、緑黄色野菜):骨の形成を促す
- 日光浴: 1日15分程度、日光を浴びることで体内でビタミンDが生成されます。
- 運動(リハビリ): 最も重要なのが、専門家の指導のもとで「麻痺側の足に正しく体重をかける」練習をすることです。安全な環境で立つ、歩くといったリハビリを行うことは、バランス能力を高めて転倒を防ぐだけでなく、骨に適切な刺激を与えて骨密度を維持・向上させる最高の骨粗しょう症対策になります。
対策③:自分の骨の状態を知る
特に閉経後の女性や高齢の方は、定期的に医療機関で「骨密度検査」を受け、ご自身の骨の状態を把握しておくことを強くお勧めします。必要であれば、骨粗しょう症の治療を早期に開始することが重要です。
【まとめ】
今回は、脳梗塞後の骨折リスクとその予防法について解説しました。
脳梗塞後の骨折は、「転倒しやすくなる」「麻痺側の骨がもろくなる」という二重のリスクによって引き起こされます。 そして、一度の骨折が長期のリハビリ停滞を招き、寝たきりの入り口になりかねない、非常に深刻な問題です。
しかし、裏を返せば、適切なリハビリによって「転倒しない体」と「丈夫な骨」を同時に手に入れることができるということです。 環境を整え、食生活に気を配り、そして何より、ご自身の状態に合った専門的なリハビリを継続することが、骨折を予防する一番の近道です。
「転ぶのが怖くて、動くのが億劫になっている」 もしそう感じているなら、ぜひ一度私たちマヒリハにご相談ください。あなたの体を守り、より豊かな生活を送るためのお手伝いをさせていただきます。
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