【認定理学療法士監修】“見えているのに、わからない”という不思議な世界

ブログ監修者

脳梗塞Labo マヒリハ 柏の葉店店長 原田 涼平理学療法士 認定理学療法士(脳卒中)

脳梗塞Laboマヒリハ柏の葉店店長の原田です。地域でお困りになっている方や不安を感じている方を一人でも多く救えるよう、保険外だからこそできる量と質を担保したリハビリを行っております。リハビリをご希望の方はお気軽にご連絡ください。

【失認】“見えているのに、わからない”という不思議な世界

〜脳が情報を受け取っても、「意味」がつかめない〜

こんにちは、マヒリハの岡田です。
今日は、「失認(しつにん)」という、ちょっと聞き慣れないけど、実はとても重要な高次脳機能障害について取り上げます。

✔️「失認」ってどんな障害?

失認とは、視力や聴力が正常でも、“対象の意味がわからなくなる”障害です。
たとえば──

  • 目の前にフォークがあるのに、「これは何?」と聞かれる

  • 家族の顔を見ているのに、「どちらさまですか?」と言ってしまう

  • 音は聞こえるのに、言葉の意味がつかめない

これは、「見えない」「聞こえない」わけではありません。
感覚の入口は生きているのに、“意味をつける脳の処理”ができない状態なのです。

✔️失認の種類って?

失認にはいくつかのタイプがあります。代表的なものを紹介します👇

① 視覚失認(しっかくしつにん)

→ 見えていても、それが何かわからない。
例)テレビのリモコンを見て、「これは何かしら?」となる。

② 相貌失認(そうぼうしつにん)

→ 顔は見えても、「誰の顔か」がわからない。
例)家族を他人と思ってしまう。笑顔でも不安が残る。

③ 聴覚失認(ちょうかくしつにん)

→ 音は聞こえても、それが何の音か認識できない。
例)電話の呼び出し音が鳴っていても、反応できない。

④ 触覚失認(しょっかくしつにん)

→ 手で触れても、それが何かがわからない。
例)ポケットの中の鍵を触っても「これは何?」となる。

⑤ 半側身体失認

→ 自分の体の一部を「自分のもの」と認識できない。
例)左手を見て「これは私のじゃない」と言う。

✔️失認と混同されやすい障害は?

✅ 記憶障害 → そもそも覚えていない
✅ 注意障害 → そこに注意が向いていない
✅ 失語症 → 言葉の意味や使い方がうまくいかない

失認は、「感覚の入力はあるが、その後の処理が乱れる」ことがポイントです。

✔️「できない」ことを責めない

失認の症状は、本人の意思や努力ではどうにもならないことが多いです。
「どうしてわからないの?」「見えてるじゃん!」は、当事者を深く傷つけてしまいます。

本人が一番、困っている。
それを忘れず、周囲が“意味づけ”を手助けする環境づくりが必要です。

✔️リハビリでできることは?

失認は回復の個人差が大きいですが、以下のような支援が行われます。

🔸 代償手段の活用
 → たとえばラベルを貼る、音声でのヒント、触って確認するなど。

🔸 環境調整
 → 混乱を減らすため、物の配置を固定する、見やすく整理する。

🔸 視覚や触覚など、他の感覚との連携を強化
 → 複数の感覚を一緒に使うことで“わかりやすく”する。

✔️さいごに

「見えてるはずなのに、わからない」
「聞こえてるのに、意味がつかめない」

失認は、“現実と脳内の世界がうまくつながらない”という、非常に繊細な障害です。

でも、あきらめる必要はありません。
脳は柔軟で、代わりの道を探す力があります。
周囲の理解と工夫で、失認と向き合う日々を少しずつ穏やかにしていくことができます。

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「意味がつかめない」に寄り添う評価・関わりがしたい方は、ぜひ一緒に学んでいきましょう📚
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